三菱自動車の思い出

以前勤めていた会社は三菱自動車を担当していた広告代理店の下請けをしていたこともあり、三菱の話をよく聞くことがあったのでその話を書きます。
当時、三菱はGDIエンジンという新しい機構を搭載したエンジンを発表しました。リーンバーン、希薄燃焼エンジンの一種です。
エンジンはガソリンを燃やして走るのですが、そのまま燃やすのではなく気化させ空気と混ぜて燃やすというか爆発させて、そのエネルギーを取り出します。
そのときのガソリンと空気の割合を空燃比と言いますが、そのガソリンの割合を低くしたのが希薄燃焼、リーンバーンと呼びます。
イメージとしてガソリンを薄くした方が燃費がいいことは想像できると思います。
ですがガソリンエンジンはもう長い時間開発されてきた技術です。理想的なガソリンと空気の割合なんてとっくの昔に答えが出ています。
その常識にチャレンジして様々な技術を追加して生み出されたのが三菱GDIエンジンです。
燃料消費−35%、パワー+10%、CO2排出量−35%は最初にGDIエンジンが搭載されたギャランの広告に書かれた数値です。当時はCO2排出量を減らしたというのがブームでした。
先ほどガソリン薄くすると燃費が良くなると書きましたが無条件でそうなるわけではありません。何かを犠牲にせずに良くなることはありません。
ではなにを犠牲にしたかというと答えは簡単。馬力、パワーです。
燃料をけちったらパワーが減る。自然の摂理になにも反してません。
もう一度広告を見直すと「燃料諸費−35%、パワー+10%」と書いてあります。
燃料を減らしてパワーを増やす。どのような技術革新でこれを成し遂げたのでしょう。
その前に、そもそもマイナスとかプラスとかなにと比較してのことでしょう。
それは前の機種との比較でスマホなんかと一緒です。新しいiPhoneの発表会で昨年のモデルと比べてこれだけスピードアップしてバッテリーの持ちも長くなったと誇らしげに言ってますよね。
結論としてカタログに載せられる数値が−35%、+10%になったと言うことです。
燃料消費は10・15モード燃費という数字が全メーカー共通であります。その数字が35%改善された。
パワーの方は最高出力が前のモデルより10%アップした。
それぞれが独立した数字なのです。
そしてCO2排出量はカタログに載せる必要はありませんが、当時流行だから広告には登場しました。数字の根拠はガソリンの使用量に比例するだけです。
いろいろと調べたら、やはりガソリンを薄くして馬力をあげるのは無理なようで、馬力が必要なときはガソリンを普通の濃度にするそうです。
燃費を計るときはガソリンを薄くして計る。馬力を計るときはガソリンを薄くするのをやめる。
簡単なトリックです。
一応インチキではありません。ガソリンが薄くなるときの条件が示されていて、その通りの動作はしたようなので。
加速が必要なときアクセルを踏み込むと通常の燃料濃度。定速走行だとリーンバーン。大ざっぱにいうとこんな感じです。
この事実を知ったときに三菱は信頼できないメーカーだなと思い、今後三菱の車は買わないと決めました。
嘘はついていないけれど不誠実です。
実際の走行ではリーンバーンでの走行時間はかなり短かったようで、発売されてかなりのクレームが入ったそうです。
そのときの三菱の対応は「アクセルを急激に踏まない」「必要のない荷物は載せない」などと書かれた自動車の燃費を良くする方法というリーフレットを配ることでした。
当社に持ち込まれたのはGDIエンジン搭載車を海外で販売するにあたってそのリーフレットの外国語版を作る案件でした。
その話は結局立ち消えになりましたけど。

この話を書くにあたって、うろ覚えだった記憶を下のサイトで補完させていただきました。
自分も知らなかったGDIエンジンの顛末が書かれています。
car-me.jp

おまけのお話

人事の話もよく出ましたね。その中で引っかかったのが「レッズの社長」という言葉。
浦和レッズの社長の椅子は三菱自動車のポストの1つだったわけです。定期的に本社の人間が入れ替わりで座っていたようです。古き良き時代の日本の会社ですね。
当時のレッズは成績がかんばしくなくJリーグのお荷物チームと呼ばれてました。
いろいろと三菱で不祥事があって株主の構成に変化があってから今のレッズへと変化していきましたとさ。
今回の件でとうとう日産の傘下に入るようですが、レッズにとっては、またいい変化になるんじゃないでしょうか。

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